スーパームーンの昨日は濃霧で大満月を見る事はかなわず、残念。
東の山が急に紅葉しはじめ、夕方からはすっかり薪ストーブの季節。
夜ともなれば、眠くて、眠くて・・・・

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例年、この季節になるとフランス在住の洋画家、山崎修氏の個展が銀座であり、
昨年は私が旅行中であったので、二年ぶりにお目にかかりに出かけるのに会わせて、
和太鼓彩の来春ツァー“Q”の衣装の生地選びも兼ね、萩原君と日暮里で待ち合わせた。

生地選びの方は、条件を考えると選択肢がないので、私一人で構わなかったのだが、
先々の事を考えると、生地選定の考え方や、買い揃える店など、
伝えられる事は出来るだけ伝えたいと思い、萩原君を誘ったのである。

まずは、日暮里トマトで所用の生地を買ったのだが袖部分の生地に見合ったものが見つからず、
浅草の寿の生地屋を見に行く事にしたのだが、
彩の衣装にいずれ“和”のテイストのものを加えたいというのと、
私が試作した黒留袖からリメイクしたアウターのようなのが個人的に欲しいというので、
移動の前に、リサイクル着物のたんす屋さんにちょっと、立ち寄ってみたのである。
どういう柄ゆきが良いのかをアドバイスしながらザッと見てゆき、
萩原君は、なかなか渋めの黒留袖をチョイスした。
試作用にもう一枚黒留袖を選んだが、
見てゆく中に、友禅の訪問着があり、何故ここに?と、気になったので、
それも合わせて購入し配送してもらって急いで浅草方面に移動。
あいにく、寿の生地屋でも適当な生地は見つからず、銀座の画廊へ向かった。

山崎氏は、今年フランスで大きな賞を戴いたという事で、その新作は更に明るく深度を深め、
新境地を開かれたようである。

翌朝、さっそく荷が届いたので、開いて、改めてその友禅を見るに、見事な染めである。
じっくり見ると、下前の奥に、作者名と制作年が・・・1954年
調べてみると、驚いたことに、江戸友禅染めの現代の名工の作なのであった。
1954年といえば、戦後の混乱期からは少し時を経てはいるが、
戦火を生き延び、物も充分ではなかった時代に、
一筆一筆どのような思いで三十一人の女性を描いていたのだろう、と感慨深い。
日々の暮らしにいっぱいいっぱいだった人々の中で、
この着物を着用するからには、経済的に豊かな女性のものであったのだろうが、
いつしか、不要のものとされ、どのような旅をへて私の目の前にやって来たのだろう?

ま、とりあえず、三十一人のお姉様がたを、無事保護できて良かったわ。

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