「風の旅」に、エピソード①を投稿していたら、四半世紀前(驚!)のモロッコでの出来事を思い出したので、忘れないうちに書いておこう、

まだ明けやらぬ早朝にマラケシュに着いた我々。薄暗い駅の前の路上には、座り込んで、おじやのようなスープを売る人がいて、人々が数人並んで次々に鍋から器にスープをよそってもらって、これまた、その辺ですすっている。早朝にもかかわらず、行き交う人々も多く、商売繁盛なのだ。

駅にいてもしょうがないから、ジャマ・エル・フナ(フナ広場)の方向に歩いて行くと、車道をはさんで反対方向を、十人以上もの人達を乗せた大きな馬車が、カッ、カッ、カッ、と近づいてきた。朝の光の中を行く馬車は旅情を誘う光景だから、通り過ぎる瞬間すかさずカメラを身構えるカモメさん。カシャっとシャッターを切るやいなや、カモメさんのシャッター音に条件反射した人々が、馬車の上で一斉に笑顔を向けて、手を差し出したのであ~る。かなり広い車道の向こう側だから距離もあるし、反対方向に走っていく馬車だから、どう考えてもお金はあげれないよ!なんだが、まあ、とりあえず、なんでも手だけは出しておこう~っと、ということなんだろう。そもそも、シャッター音を聞きわける耳にも驚きだが、あまりのシーン展開に、朝から、大笑い!こうして、我々はマラケシュの洗礼をを受けたのだった。

マラケシュでは、フナ広場を見おろすカフェでお茶したり、当時、旅行者の間で人気だったレストランで、フランス風のチキンのレモン煮だったかを食べたりした。フナ広場の夜の屋台が、これまた圧巻で、幻想(マボロシ~的な・・・)喧噪!昼のフナ広場では、昔も今もお土産売りや、赤い民族衣装の水売りや、ヘビ使いや、アクロバットや、さまざまな見世物がいて、埃っぽくて、それでいて、なにか懐かしい人間くさい光景が繰り広げられているんだろうなぁ~!

シャッター音へのルーティーンは今でも健在だろうか?