マラケシュでは、こんなこともあった。
4,5人の子供達がつかずはなれず、ずっ~とついてくる。
街外れにきたあたりで、そのうちの年長の少年がおもむろに声をかけてきた。
「ドゥー・スティロ-」私の斜めがけのポーチとシャツを交互に指差している。
指差す先を注意して見ると・・・それぞれにボールペンが・・・・
うっかり、胸ポケットとポーチにボールペンをはさんでいたのだ。

「ドゥー・スティロー」2本のボールペン
この少年は、あなたは2本のボールペンを持っている。僕らは持ってない。
だから、1本ちょうだい!というのだ。
さらに耳をかたむけると、
僕らはボールペンをもらえれば嬉しい。
あなたは僕らにあげられるのだから嬉しい。
双方が嬉しいのだから、あなたは僕らにボールペンをくれるべきだ。と言うのであ~る!

んーん!素晴らしい! 座布団一枚!!!
喜捨でありますな。
ハッハ~ッ!思わず平服してしまう立派なお考え。
改心してモスリムになってしまいそうでありまする。
あまりに素晴らしいので、少年に1本あげたかったが、
安心の日本製ボールペンの予備がなくなってしまうと、旅のこの先不安だし、
街の路上や店にもボールペンは売っているが高いし、
安いのは中国製で品質に問題があるし(今はそんなこともないだろうが・・・)で
ご容赦ください!

これだけ賢い少年だから、
あげたらあげたで、他の子供達には「僕がもらったんだから僕のもの」というかも知れないなぁ~。
あげたボールペンが翌日、路上の店に並んでることもありうる。

だけど、世界の誰もが少年の言うように考えられたら、
世界はどんなに素晴らしくなるだろう。

私は、子供の言うことには耳をかたむける。
たいていの場合、理にかなっているし、
真理に近い。